ベッサクデー(英:Vesak Day)はお釈迦様の誕生、成道 (悟りを開いた日)、入滅 (亡くなった日)を記念する仏教徒の方々にとって特別な日です。国によってはお釈迦様の誕生と入滅を別とする場合もありますが、シンガポールではお釈迦様が誕生した日、悟りを開いた日、亡くなった日が全て同じベサックデーとされていて、1955年以降は国民の祝日にもなっています。
ベサックデーの日付は毎年変化します。これはベサックデーの日付が太陰暦に沿って決まっているからです。また、国によってもベサックデーを祝う日は変わってきますが、シンガポールでは旧暦(太陰暦)の最初の満月の日とされています。これは現在日本で使われている新暦(太陽暦)では5月頃となります。
ベサックデーにはどんなことをするの?
シンガポールのベッサクデーは、当日の夜明けとともに始まります。仏教信者が寺院に集まり、仏教の旗を掲げ、賛美歌を歌い、一連の儀式に参加します。また、この日は各仏教寺院にお花やフルーツが並べられ、多くの参拝者で賑わいます。
お供え物と善行
ベッサクデーでは花やロウソク、線香などがお供え物として捧げられます。これらの供物は、枯れたり燃えたりすることで、全ての物には終わりがある事を象徴しています。また、この日は仏教徒の方々にとっては善い行いをする日とされていて、いかなる形の殺生も控えるように奨められています。そのため、ベサックデーには肉類を食べない習慣があります。
解脱の印として小動物を放す
一部の国では、ベサックデーの伝統の一環として「檻に入れられた鳥や動物の解放」が行われる事もあります。ただ、解放された動物の生存率の問題や地域の生態系の保守の理由からシンガポールでは禁止されています。
三歩一拝
三歩一拝は約2時間かけて行われる礼拝方法です。信者は両膝をついて一歩ずつ歩き、3歩目に一礼をします。これは仏教に伝わる3毒である貪(貪欲)、瞋(怒り)、癡(愚かさ)を振り払う事を目的としていて、悔恨の念を抱えたりしながら実践していきます。
仏陀像への水掛け
仏教に伝わる伝説になぞって、仏陀像に水掛けを行います。伝説には諸説ありますが、仏陀が誕生した際に聖水を浴びせられた事が起源となっています。そのため寺院の祭壇には幼い釈迦の像が置かれ、仏教徒の方々は用意された水を柄杓を使って像に掛けていきます。
牛乳漬けのお米
上座部仏教(主にシンガポールのビルマ人やスリランカ人のコミュニティ)では、ベサックデーを祝う際に、ミルクで米を炊く儀式を行います。これは、釈迦が悟りを開くまでの長い断食の前にとった最後の食事を象徴しています。