ショップハウス(英:Shop House)は、住居と商業スペースが組み合わさったテラスハウスのような建築物を指し、シンガポール以外でもマレーシア(ペナンやマラッカなど)やベトナム(ホイアンなど)でも見られます。ショップハウスは1階が商業スペースで上層階が住居として使われる様式となっていて、商業スペースではショップやレストラン、オフィス、研修施設など多様な目的で使われています。また、現在では住居のみを目的としてショップハウスを利用するオーナーもいます。
ファイブ・フット・ウェイ
シンガポールのショップハウスでは、玄関先が屋根付きの公共通路(1.5m幅ほど)になっている場合が多く、この公共通路はその幅の狭さから「ファイブ・フット・ウェイ(英:Five-foot way)」と呼ばれています。ファイブ・フット・ウェイは、 1822年にスタンフォード・ラッフルズ氏(英:Sir Stamford Raffles)がタウンプラン(都市計画)を作った時に導入が決められています。
また、ファイブ・フット・ウェイの導入には次のような目的があったと言われています。
- 雨や日差しから歩行者を守る事で、快適に移動できるようにする為
- 店舗所有者が商業の活性化を行えるようにする為(例:商品の展示や屋台の設置など)
- 交流や公共の場としての機能
シンガポールでのショップハウスの起源
シンガポールでのショップハウスの起源は、中国の広東省と福建省 だと言われています。 これは、シンガポールに移民しきた中国人の多くが 広東省と福建省出身者だった事が理由として挙げられています。
ここから多民族国家シンガポールならではの進化を遂げ、現在のショップハウスへとなっています。現在、シンガポールの保存指定建物は7091戸あり、そのうちの約6500戸がショップハウスとのことです。
ショップハウスの種類
シンガポールのショップハウスは、建築時期によって見た目に違いがあります。無装飾なショップハウスからヨーロッパ風、タイルを使用したショップハウスなど、時代の流れに合わせて変化が加えられてきています。
■ The Early Shophouse Style (1840-1900)
初期のショップハウスは装飾が殆ど無いのが特徴です。建物の高さも現在の一般的な2階建てショップハウスよりも少し低く作られています。家の材料には木や土など現地で調達された物が使用されています。
■ First Transitional Shophouse Style (early 1900s)
ショップハウスに少しずつ装飾が施され、色が付けられたり石膏やタイルでデコレーションされ始めます。また、建物も従来のショップハウスより高く強固に作られ始めたのもこの時期です。
■ Late Shophouse Style (1900-1940)
建物の構造に曲線が入り、よりクラシックな風貌になっています。また、プラナカン式のショップハウスが多く建てられたのもこの時期で、装飾に鮮やかなタイルが使用されています。
■ Second Transitional Shophouse Style (late 1930s)
アール・デコスタイルへの移行期に建てられたショップハウスです。プラナカンの特徴である装飾タイルとアール・デコの幾何学的デザインの両方が取り入れられています。
■ Art Deco Shophouse Style (1930-1960)
アール・デコスタイルのショップハウスです。欧米風の幾何学的なデザインで、装飾タイルの使用が少なくなったのが特徴です。また、アール・デコスタイルのショップハウスには建設日が記されたプラークがついています。
■ Modern Shophouse Style (1950-1960)
モダンスタイルのショップハウスです。装飾は控えめとなり、またコンクリートなどの材料が使用され始め、より実用的な形へと変化をしていきます。
シンガポール国内のショップハウスで有名なエリア
シンガポールでは、国内の至る所でショップハウスを目にする事ができます。その中でも下記の地区や通りがショップハウスで有名なエリアとなっています。
ショップハウスで有名なエリア
- Chinatown
- Kampong Glam
- Clarke Quay
- Bugis
- Katong
- Tanjong Pagar
- Colonial District