シングリッシュ(英:Singlish)とは、シンガポールで話される英語(English)を指す言葉です。シンガポールは英語圏や準英語圏と呼ばれる国ですが、欧米で話される英語(American EnglishとBritish English)とアクセントやスラングが異なる事からシングリッシュ(Singlish)と区別されて呼ばれる事があります。

シングリッシュはあくまで「シンガポール人が持つ独特のアクセントやスラングが強く出ている英語」に使われる名称で、日本語や中国語のように公的な形でシングリッシュという言語が存在するわけではありません。

シングリッシュの特徴

シングリッシュにはベースとなる英語以外の言語の要素が多く取り入れられています。シングリッシュのイントネーションや文章構造は、シンガポールで話される福建語、広東語、テオチュー語などの中国語の方言の影響を強く受けているほか、マレー語やインド語の影響も受けています。実際の会話でも、マレー語で「推定」を意味する agak agak や福建語で「忙しい人」を意味する kaypoh などを耳にする事も少なくありません。

また、文法面でもシングリッシュは英語と異なります。違いとして多いのが、語尾、時制、複数形、定冠詞、接続詞(「is」や「am」など)が無視される事です。

シングリッシュ特有の時制に関する例

  1. You walk so slow. ⇨ You walk so slowly.
  2. She shop here yesterday. ⇨ She shopped here yesterday.
  3. Teck very rich. ⇨ Teck is very rich.

また、シングリッシュでは特定の意味を伝えるために名詞、動詞、単語の一部を繰り返す話し方(Reduplication)も頻繁に使用されます。

シングリッシュで登場する繰り返しに関する例

  1. Where is your boy boy?
  2. Let her be, cry cry awhile then she'll be all right.
  3. Don't always eat sweet sweet things.
  4. I walk walk then I fall down.
  5. Take bus no good, always stop stop.

その他にも、英語には存在しない「lah」「leh」「lor」という言葉が文末にくっ付くのもシングリッシュの特徴です。

シングリッシュで使われる「Lah」「Leh」「Lor」の例

「Lah」の例
A: “I’m really quite certain that I saw your husband buying 4D at 7–11!”
B: "No lah, cannot be! My husband is not that kind one lah!"

「Leh」例
A: "I'm really quite certain that I saw your husband buying 4D at 7–11!"
B: "Huh? Sure or not? My husband not the kind to play 4D leh…"

「Lor」の例
A: "Wah, I heard you lost your job? That sucks balls sia…"
B: "What to do, life goes on. Like that then like that lor…"

シングリッシュでよく使われる表現

シンガポールでよく耳にするシングリッシュの表現をいくつか集めてみました。

Canの使い方

シンガポールでは「できます」の意味で「Can」が頻繁に使用される短縮形です。通常の英語では「Can you do that?」や「Yea, I can.」となる文を「Can」の一言にまとめてしまう表現です。

「Can」を使ったシングリッシュの例
A : You compile this work by 3:00 pm, can?
B : Can!

No needの使い方

「必要ありません」という意味で使われるのが「No need」という短縮形です。通常の英語では「It is not necessary」や「I do not need that」となる文を「No need」で表現します。

「No need」を使ったグリッシュの例
A : Do you need me to call you tomorrow morning?
B : No need!

Alamakの使い方

「Alamak」はマレー語の「allah(神)」と「Emak(母)」からできた言葉でシンガポール式の「Oh my god」や「Oh no!」です。ただ、使われるタイミングと発音から日本人は「あらま!」と覚えた方が良いかもしれません。笑

「Alamak」を使ったシングリッシュの例
A : Did you manage to complete your assignment?
B : Alamak! I totally forgot about my assignment.

シングリッシュを実際に聞いてみる

シンガポール人の登場する動画をいくつか集めてきました。

リー・シェンロン首相のスピーチ

シンガポールのニュース番組(CNA)

シンガポールのYouTuber(JianHao Tan)

ちょっとアクセントの強いシングリッシュ