ラクサを解剖して美味しさのポイントを考えてみた

シンガポールを代表する料理「ラクサ(Laksa)」。

ラクサは風味がとても豊かな料理ですが、「何が美味しいの?」と聞かれると、意外とうまく説明しにくい料理でもあります。

そこで今回の記事では、ラクサに使われている材料と、各材料が持つ味や香りを整理しながら、ラクサが持つ美味しさをじっくりと考えてみました。

ラクサが持つ味の要素を「大解剖」してみた!

ラクサの味の要素を知るために、まずはラクサを次の3つの項目に分けて大解剖してみました。

  1. スープ
  2. トッピング

※ 今回のラクサ大解剖は、シンガポールで食べられる一般的なラクサで使用される材料をベースに検証しています。

スープ

ラクサの美味しさを語る上で、一番重要なのがスープです。ラクサらしさを決める海老の旨味、ココナッツミルクのコク、スパイスやハーブの香り、そのほとんどがスープに含まれています。

以下が、ラクサのスープに使われる代表的な材料と、それぞれが担う味や風味の要素となります。

材料 味・風味のポイント
ココナッツミルク ラクサのスープを飲んで最初に感じる濃厚なコクとクリーミーな口当たりを生み出します。辛さをまろやかに包み込み、ラクサらしい味わいの土台になっています。
干し海老・海老ペースト 凝縮された海老の旨味を加えます。「ラクサらしい」と感じる味の中心となる材料です。
サンバル・チリペースト 唐辛子の辛味だけでなく、発酵由来のコクや旨味を加え、全体の味を引き締めます。
スパイス レモングラスやガランガル、ターメリックなどが組み合わさることで、ラクサ特有の複雑な香りや奥行きのある風味を生み出します。

主なスパイス

  • ターメリック
  • ガランガル
  • レモングラス
  • キャンドルナッツ
  • エシャロット・にんにく・生姜
ラクサリーフ 飲み込んだ後に鼻へ抜ける香りが特徴で、ラクサならではの風味をスープに付け加えてくれています。

ちょっと豆知識

ラクサのスープ特有のオレンジ色から赤橙色は、これらの材料が持つ色が組み合わさることで生まれます。使用する材料や配合のバランスはお店ごとに異なるため、ラクサのスープの色合いにもそれぞれ個性があります。

スープがラクサの味を決めるなら、麺はその味を運ぶ役割を担っています。麺自体は比較的シンプルな味付けになっていて、スープとの一体感を重視した作りになっています。

ラクサに使われる麺は、お店によって異なりますが、一般的には次のような種類があります。

味・食感のポイント
ラクサヌードル(太めの米麺) もっちりとした食感で、噛むとほどよい弾力があります。スープがよく絡み、ココナッツミルクや海老の旨味をしっかり運んでくれます。
ビーフン(細い米麺) 細い麺ならではの軽い食感が特徴です。細い麺のためスープがよく絡み、ラクサ本来の風味をしっかりと楽しめます。
ビーフン+黄麺 シンガポールでは定番の組み合わせです。ビーフンがスープの風味を引き立てる一方、黄麺はもちっとした食感とコクを加えます。2種類の麺の異なる魅力を一度に楽しめるのが特徴です。

ちょっと豆知識

シンガポールを代表する「カトン・ラクサ」では、麺をあらかじめ短く切って提供するのが特徴です。スプーンだけでも食べやすいよう工夫されたスタイルで、カトン・ラクサならではの特徴として知られています。

トッピング

トッピングは味や食感に変化を与える役割を担っています。同じラクサでも、お店によって印象が変わるのは、トッピングの違いによる部分も少なくありません。

トッピングはお店によって異なりますが、一般的には次のような具材が使われます。

トッピング 味・食感のポイント
海老 プリッとした食感と自然な甘み。海老の旨味をさらに引き立てます。
フィッシュケーキ 弾力のある食感と魚の旨味。ラクサでは定番の具材です。
豆腐(厚揚げ) スープをたっぷり吸い込み、一口ごとにラクサのコクを楽しめます。
もやし シャキシャキした食感が加わり、全体のアクセントになります。
辛さをやわらげ、味わいをまろやかにしてくれます。
あさり(店による) 貝の旨味が加わり、スープにさらに深みを与えます。

※ あさりは風味が比較的強いため、その味を避けたい方は、あえて「あさり抜き」で注文することもあります。

このようにラクサは、一つの味でできている料理ではありません。スープ・麺・トッピング、それぞれが役割を持ち、一杯のラクサを作り上げています。

では、実際にどのような順番で味を感じると、ラクサはもっと美味しく楽しめるのでしょうか。

ラクサの「味わい方」を考えてみる

ここまでラクサを構成する要素を見てきました。では実際に食べるときは、どんな順番で味わうとラクサの美味しさを感じやすいのでしょうか。

少しだけ味わい方を意識してみると、「このお店は海老が強いな」「ココナッツミルクが濃厚だな」といった、お店ごとの違いも見つけやすくなります。

① まずは「海老の旨味」を探す

最初の一口は、麺を食べる前にスープだけを飲んでみましょう。このときは辛さよりも、「海老の旨味はどこにあるかな?」という気持ちで味わうのがおすすめです。

ラクサらしさの中心になっているのが、この海老の旨味。お店によって濃さや出し方が違うので、ここを意識するとそれぞれの個性が見えてきます。

② 次に「ココナッツミルクのコク」を感じる

海老の旨味を感じたら、次はココナッツミルクです。スープ全体のコクやクリーミーさを意識してみると、海老の旨味とのバランスが分かりやすくなります。

「思ったより濃厚」「意外と軽い」など、お店ごとの違いを感じやすいポイントでもあります。

③ ハーブやスパイスの香りを楽しむ

次は香りにも注目してみましょう。レモングラスやガランガルなどのハーブやスパイスは、口に入れた瞬間だけでなく、飲み込んだ後に鼻へ抜ける香りにも特徴があります。

ここを意識すると、「ラクサってこんなに香りの料理なんだ」と気付くかもしれません。

④ 食感を楽しむ

最後は麺や具材の食感です。もちっとした麺、シャキシャキのもやし、プリッとした海老、弾力のあるフィッシュケーキ、スープをたっぷり吸った豆腐など、一杯の中にはさまざまな食感があります。

味だけでなく食感にも意識を向けてみると、一杯のラクサを最後まで飽きずに楽しめるはずです。

最後に

今回ラクサを分解してみて感じたのは、ラクサの美味しさは一つの味ではなく、「海老の旨味・ココナッツミルクのコク・ハーブやスパイスの香り」が重なり合って生まれているということでした。

ラクサを構成する要素を知っておくことで、お店ごとの味の違いや、「このお店は海老の旨味が強い」「ココナッツミルクが濃厚」といった特徴にも気づきやすくなるのではないかと思います。

また、材料を一つひとつ見ていく中で改めて感じたのは、使われている材料の多くが、日本人にとってあまり馴染みのない食材やスパイスだということです。馴染みのない風味は、どうしても「何か独特」という印象になりがちです。しかし、一つひとつの味や香りの役割を知ってから食べてみると、ラクサの印象は少し変わるかもしれません。

次にラクサを食べる機会があれば、ぜひ海老の旨味やココナッツミルクのコク、ハーブやスパイスの香りなど、それぞれの要素を探しながら味わってみてください。これまでとは少し違ったラクサの美味しさに気づけるかもしれません。

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