シンガポールの「クエ(Kueh)」まとめ。人気のクエ7種も紹介。

シンガポールに住んでいると「クエ(Kueh)」と呼ばれる伝統菓子をよく目にします。そんなクエについてのまとめ記事を作ってみました。

クエ(Kueh)とは?

クエ(Kueh)は、シンガポールやマレーシア、インドネシアなどのマレー文化圏で食べられる「伝統菓子」です。また「Kueh」という言葉自体もマレー語で「お菓子」や「軽食」を意味する言葉となっています。(ただし、語源としては福建語の「粿(kóe)」から来ている。)

クエのベースには、米粉やタピオカ粉、もち米粉などがよく使われます。また、風味付けにはココナッツミルク、パンダンリーフ、グラ・メラカ(パームシュガー)などが使用され、東南アジア独特の甘さや香りが特徴となっています。なお、全体的にクエは明るい色もしくは茶色・白色をしていることが多く、祝祭や家庭行事でもよく振る舞われることがあります。

クエの豆知識

クエは食べ物におけるカテゴリのような位置づけとなる言葉で、「クエ=この食べ物」といったものではありません。そのため、クエ自体へのイメージとしては「東南アジアで昔から食べられているスイーツの総称」といった意味合いで理解しておくのがいいのかなと思います。

※材料や食べられるタイミングなど、共通点は沢山あります。

代表的なクエの種類

以下に、シンガポールで食べられる代表的なクエをまとめてみました。

クエ・ラピス(Kueh Lapis)

カラフルな層が特徴的な蒸し菓子です。米粉とココナッツミルクで作られた生地が一層ずつ重ねられていて、もちもちとした食感と控えめな甘さが特徴的なクエです。

主な材料:米粉、タピオカ粉、ココナッツミルク、砂糖、パンダンジュースまたは食用色素など。

クエ・サラット(Kueh Salat)

もち米とパンダン風味のカスタードを二層に重ねたプラナカン菓子です。ココナッツの香りと甘さ、塩味のバランスが特徴的なクエです。

主な材料:もち米、ココナッツミルク、卵、砂糖、パンダンリーフ、塩など。

オンデ・オンデ(Onde-Onde)

パンダンの色と香りが特徴的な団子菓子で、中にはグラ・メラカ(シロップ状)が詰まっています。また、上からココナッツフレークがまぶされているのも特徴的なクエです。

主な材料:もち粉、パンダンジュース、グラ・メラカ、ココナッツフレークなと。

クエ・ダダール(Kueh Dadar)

パンダン風味のクレープでココナッツとグラ・メラカのフィリングを包んだロール菓子です。ココナッツの香ばしさと優しい甘さが特徴的なクエです。

主な材料:小麦粉、卵、ココナッツミルク、パンダンジュース、グラ・メラカ、削ったココナッツなど。

トゥトゥ・クエ(Tutu Kueh)

米粉を蒸して中にココナッツやピーナッツを詰めた一口サイズの伝統菓子です。ふんわりとした食感と素材の自然な甘みが特徴的なクエです。

主な材料:米粉、砂糖、ココナッツまたはピーナッツなど。

クエ・パイ・ティー(Kueh Pie Tee)

サクサクの薄いカップに大根や人参の炒め物を詰めた前菜系のクエです。プラナカンレストランでよく登場する人気メニューでもあります。

主な材料:小麦粉、卵、大根、人参、ニンニク、干しエビなど。

アンクー・クエ(Ang Ku Kueh)

亀の甲羅の形(赤が最も一般的)をしたもち菓子で、幸福や長寿のシンボルともされています。中には緑豆やピーナッツの餡が入り、もっちりとした生地と優しい甘さが特徴的なクエです。

主な材料:もち粉、サツマイモ、植物油、緑豆・ピーナッツ・黒ごまなど。

クエには多くの種類があり、地域や家庭によって作り方が異なったりする事もあります。また、クエの中でもプラナカン流にアレンジされているものは「ノニャ・クエ(Nonya Kueh)」と更に細かくカテゴリ化されたりもしています。

クエを食べられる場所

クエは地元民の朝食やティータイムのお供として現在でも親しまれています。シンガポールではホーカーセンターやウェットマーケット、老舗ベーカリー、菓子店、カフェ、プラナカンレストランなど、様々な場所で提供されています。

また、最近では「FairPrice」や「Cold Storage」で冷凍版のクエが販売されたりもしています。

クエが持つ文化的な側面

クエは、シンガポールの多民族社会を反映する伝統菓子とされています。中国南部から持ち込まれた米粉菓子文化とマレー文化(食材や風習)との融合をはじめ、現在ではマレー系・中華系・インド系の人々が共に親しむ「多文化的スイーツ」となっています。また、プラナカンの家庭においては「家族の味」として祖母から母、娘へと独自のレシピが受け継がれたりもしています。

さらに、近年では若いシェフによって現代的に作られた「モダン・クエ(Modern Kueh)」も注目を集め始めていて、シンガポールの成長と共に新しいバリエーションも年々増えてきています。

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