
クエ・パイ・ティー(Kueh Pie Tee)とは?
クエ・パイ・ティー(Kueh Pie Tee)は、シンガポールやマレーシアで親しまれているプラナカン系スナックで、サクサクに揚げた小さなカップ状の生地に、炒めた野菜の具材を詰めて食べる一口サイズのおつまみです。現在ではニョニャレストランやホテル、家庭料理(プラナカン料理)などで定番の一品となっています。
クエ・パイ・ティーは、19世紀末にマレーシアのペナンやシンガポールのプラナカンコミュニティで広まった料理とされています。もともとは中国系移民が作っていた家庭料理がベースとなっていて、細切りの大根やニンジンを炒めた具材、米粉を使った生地など、中華系の食文化の影響が色濃く残っています。
一方で、英植民地時代の西洋文化も取り入れられていて「小さなパイのような形をしたお菓子」という発想から「Pie Tee」という名前が定着したとされています。また、ティータイムに提供されることが多かったことから、この名が定着したとも言われています。
クエ・パイ・ティーの特徴
カップの部分は米粉と小麦粉を混ぜて作られた薄い生地を専用の型(パイ・ティーカップ)で揚げたもので、カリっとしつつ軽い食感が特徴です。中には細かく刻んだ大根(またはサツマイモ)と人参を炒めた具を詰め、上からエビや揚げたエシャロット、チリソース、パクチーなどを添えます。ひと口サイズながら、食感、香ばしさ・甘み・辛みが混ざったユニークな料理になっています。
クエ・パイ・ティーは、プラナカンの家庭で旧正月やお祝いごとに振る舞われることが多い料理です。また、家族や友人が一緒に具を詰めながら食べる「会話のある料理」としても親しまれています。近年では、カフェやホテルビュッフェでも提供されることがあり、伝統を保ちながらもモダンなアレンジが加えられています。