
カササギサイチョウ(Oriental Pied Hornbill)とは?
カササギサイチョウ(Oriental Pied Hornbill)は、アジアの熱帯雨林や森林地帯に分布する中~大型の鳥類で、学名は Anthracoceros albirostris です。黒と白のはっきりとした体色を持ち、頭部にある大きなくちばしと、その上にある突起(カスク)が特徴的です。
通常はペアまたは小規模な群れで行動し、繁殖期にはメスが樹洞に籠もって卵を抱き、オスが果実や昆虫、小動物などを運んで給餌します。鳴き声は「クワッ、クワッ」と濁った音で、遠くからでもよく響きます。
シンガポールでの生息状況
シンガポールでは一時期、森林破壊の影響で個体数が激減しましたが、2000年代初頭から徐々に数が回復し、現在では自然保護区や一部の住宅地でも観察されるようになっています。また、シンガポール国内ではウビン島やジュロンレイクガーデン、ローワーピアス自然保護区などが主な生息地として知られています。
ただし、生息環境や繁殖に適した古木の減少は依然として課題であり、シンガポール国内では保全対象の野生動物として扱われています(IUCNレッドリストでは「低懸念(LC)」に分類)。
シンガポールにおける保全活動
シンガポールではNParksを中心に、カササギサイチョウの保全活動が進められています。主な取り組みには、人工巣箱の設置、生息地の保全・拡張、モニタリング調査の実施、一般市民向けの教育活動などがあります。
これにより、都市部でもその姿を見る機会が増え、カササギサイチョウは都市と自然が共存するシンガポールの生物多様性の象徴として注目されています。