
スマトラスコール(Sumatra Squall)とは?
スマトラスコール(Sumatra Squall)は、スマトラ島付近で発生した積乱雲の帯(積乱雲が連なったスコールライン)が東へ移動し、マレー半島周辺に突風や激しい雨をもたらす気象現象です。シンガポールでは特に朝の時間帯に発生しやすいことで知られていて、発生すると数十分から数時間にわたって強い雨風が続きます。
強いスマトラスコールは年に数回発生し、風速が上がった際には木が倒れたり、一部地域で停電が起きた年もあります。特に朝の出勤時間帯を直撃したケースでは、道路冠水やMRTの遅延につながった例もあります。被害が大規模になることは多くないものの、毎年のように何らかの影響がニュースになる現象です。
スマトラスコールの仕組みと発生時期
スマトラスコールは、スマトラ島の西側で発生した積乱雲群が夜間に発達し、東へと移動することで生じます。上空の風向きや湿度、海上の温度といった条件がそろうと、これらの雲が帯状にまとまり、スコールラインとしてマレー半島方面へ進んできます。
スマトラスコールは一年を通して発生しますが、特に5〜10月の南西モンスーン期に多いと言われています。この時期は風がスマトラ島側からマレー半島へ吹きやすく、スコールラインが東へ移動しやすいためです。

スマトラスコールの特徴
スマトラスコールが発生すると天候が急変し、接近とともに空が一気に暗くなり、強い突風や雨(または雷雨)が始まります。また、夜間に発達した雲が風に乗って移動するため、早朝に発生することが多くなります。
風速が急に上がることもあり、枝が折れたり看板が飛ぶほどの強風になることもあります。このため、外に出る場合は落下物や倒木に注意し、高い木の下や建設現場の近くは避けた方が安心です。
なお、気象映像や雨雲レーダー上では、細長い雲の帯が西から東へ通過する様子も確認できます。

