
シンガポールが持つ伝統的な祝日の一つが「ハリ・ラヤ・ハジ(Hari Raya Haji)」です。ハリ・ラヤ・ハジは「聖地巡礼祭」や「犠牲祭」とも呼ばれるイスラム教最大級の祝祭で、シンガポールやマレーシアでは祝日にも指定されています。
ハリ・ラヤ・ハジとは?
ハリ・ラヤ・ハジは、毎年行われる「ハジ(聖地メッカへの巡礼)」と呼ばれる巡礼行事の終わりを祝う祝祭です。この「ハジ」は、預言者ムハンマドの足跡をたどって巡礼をするもので、聖地メッカに到着したイスラム教信者が一連の流れに合わせて儀式を進めていきます。
ハジは、イスラム教徒の間での義務となっていて、収入面と健康面に問題の無い信者の全員が、生涯に一度は行わなければいけないとされています。
コルバン(犠牲祭)
ハジでの祈りの後に行われるのが「コルバン(犠牲祭)」と呼ばれる儀式で、「アラー神への忠誠」と「富を分かち合う」というイスラム教の教訓を再認識するために行われます。コルバンでは、神の仰せに従おうとした預言者イブラヒムに関する言い伝えをもとに、羊や山羊、牛などを神への生贄として捧げます。(犠牲となった家畜は、梱包され、ムスリムのコミュニティーで配られます。)
預言者イブラヒムのお話
預言者イブラヒムは、神に自身の息子であるイスマイルを生け贄に捧げるよう命を受けました。イブラヒムが神の命に従い息子を殺そうとしていた時、イブラヒムの信仰心に感動した神が介入し、息子の命の代わりに羊を生け贄に捧げたとされています。
ハリ・ラヤ・ハジのお祭りはいつ?
ハリ・ラヤ・ハジの祝祭は、イスラム暦での最終月(ズルヒッジャ)の10日に行われます。ただ、イスラム暦(太陰暦)はグレゴリオ暦(日本のカレンダー)よりも短いため、お祭りは毎年10日から11日ほど早く行われます。
シンガポールでのハリ・ラヤ・ハジ
多民族国家なシンガポールでは、ハリ・ラヤ・ハジは国民の祝日となっています。A SIngapore Government Agencyが2015年に出したシンガポール国内の宗教比率でも、イスラム教は無宗教を除いて3番目に多い14%となっています。(一位は仏教の43.2%で、二位はキリスト教の18.3%)
ハリ・ラヤ・ハジの時期になると街には装飾や電飾が施され、イスラム系のお店はセールスも始めます。特にサルタン・モスク(Sultan Mosque)、ハジャ・ファティマ(Hajjah Fatimah Mosque)・モスク、ジャマエ・モスク(Jamae Mosque)の周辺は人が賑わっていて、観光客やムスリム以外の地元民も集まります。
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