ハリラヤ・ハジ(Hari Raya Haji)ってどんな行事?

ハリラヤ・ハジ(Hari Raya Haji)とは?

ハリラヤ・ハジ(Hari Raya Haji)は「聖地巡礼祭」や「犠牲祭」とも呼ばれるイスラム教最大級の祝祭で、毎年行われる「ハジ(聖地メッカへの巡礼)」と呼ばれる巡礼行事の終わりを祝う祝祭です。また、ハリラヤ・ハジはシンガポールでは祝日に指定されています。

ハリラヤ・ハジの祝祭は、イスラム暦での12月(ズルヒッジャ)の10日に行われます。このイスラム暦が一年を354日とするため、ハリラヤ・ハジの日程は毎年10日から11日ずつ早くなっていきます。

ハリラヤ・ハジの始まりについて

ハリラヤ・ハジの起源は、イスラム教の聖典クルアーンに記された預言者イブラヒムの物語にあります。神への忠誠を試されたイブラヒムが、息子イスマイルを犠牲にしようとした際、神はその信仰心を認め、代わりに羊を捧げるよう命じました。この出来事を記念して、イスラム教徒は毎年、家畜を犠牲にし、神への感謝と献身を示します。シンガポールでは、この伝統が現代の都市生活に適応され、宗教的意義を保ちながらも、地域社会との調和を図った形で継承されています。

ハジ(Haji)とは?

「ハジ」とは、預言者ムハンマドの足跡をたどって巡礼をするもので、聖地メッカに到着したイスラム教信者が一連の流れに合わせて儀式を進めていきます。ハジは、イスラム教徒の間での義務となっていて、収入面と健康面に問題の無い信者の全員が、生涯に一度は行わなければいけないとされています。

伝統的な風習と行事

ハリラヤ・ハジでは、朝からイスラム教徒はモスクに集まり特別な礼拝(イード・プラヤ)を行い、その後コルバン(犠牲祭)と呼ばれる儀式が行われます。コルバンでは、神の仰せに従おうとした預言者イブラヒムに関する言い伝えをもとに、羊や山羊、牛などを神への生贄として捧げます。この儀式は、モスクや宗教学校で行われ、肉は家族、友人、そして貧しい人々に分配されます。

尚、シンガポールでのコルバンは、政府の衛生規定に従って登録されたモスクや施設のみで、かつ専門の屠畜者が行います。

よく見られる食文化と料理

ハリラヤ・ハジの祝宴では、伝統的なマレー料理が振る舞われます。代表的な料理には、ココナッツミルクで炊いた香り高いナシ・ミニャック(Nasi Minyak)、スパイスで煮込んだビーフ・レンダン(Beef Rendang)、竹筒で炊いたもち米のレマン(Lemang)、ヤシの葉で包んだご飯のケトゥパット(Ketupat)などがあります。

街中の雰囲気と行事ごと

ハリラヤ・ハジの時期になると街には装飾や電飾が施され、イスラム系のお店はセールスも始めます。特にサルタン・モスク(Sultan Mosque)、ハジャ・ファティマ・モスク(Hajjah Fatimah Mosque)、ジャマエ・モスク(Jamae Mosque)の周辺は人が賑わっていて、観光客やムスリム以外の地元民も集まります。

ただ、ハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa)に比べると、街全体の装飾やイベントは控えめで、より落ち着いた雰囲気となります。