2022年9月1日、シンガポールで外国人就労ビザの取得基準が変更されました。近年シンガポールでは就労ビザの取得基準が高くなり続けていて、特に若年層の外国人にとってはビザの取得が困難な状況となってきています。
今回の変更ではEPとS Passの取得に必要な最低基本月給額が引き上げられました。また、2023年9月からは新たなポイント制度「COMPASS(コンパス)」が導入される事も発表されています。
EPとS Passの基本情報については「シンガポールの就労ビザEPとS Passについて」を先にご覧下さい。
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EPとS Passの最低基本月給の引き上げについて
2022年9月1日より変更となったEPとS Passの最低基本月給額について解説していきます。
EP取得に必要となる最低基本月給額の変更
<2022年9月1日からEP取得に必要となる最低給与額が下記のように変更されました。
※現在EPを持っている方が更新を行う場合、変更後の新基準は2023年9月1日より適用となります。
セクター | 2022年8月末までの最低基本月給額 | 2022年9月1日以降の最低基本月給額 |
金融以外の全てのセクター | $4,500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$8,400) | $5,000(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$10,500) |
金融セクター | $5,000(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$9,300) | $5,500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$11,500) |
S Pass取得に必要となる最低基本月給額の変更
2022年9月1日からS Pass取得に必要となる最低給与額が下記のように変更されました。また、2023年9月と2025年9月と段階的に最低給与額が引き上げられる事が発表されています。
※現在S Passを持っている方が更新を行う場合、変更後の新基準は2023年9月1日より適用となります。
セクター | 2022年8月末までの最低基本月給額 | 2022年9月1日以降の最低基本月給額(更新の場合は2023年9月1日以降) | 2023年9月1日以降の最低基本月給額(更新の場合は2024年9月1日以降) | 2025年9月1日以降の最低基本月給額(更新の場合は2026年9月1日以降) |
金融以外の全てのセクター | 2500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。) | $3,000(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$4,500) | $3,150(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限については今後確定される) | $3,300(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限については今後確定される) |
金融セクター | 2500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。) | $3,500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$5,500) | $3,650(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限については今後確定される) | $3,800(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限については今後確定される) |
新しいポイント制度「COMPASS」を追加導入について
2023年9月よりEP申請の審査方法として「COMPASS (コンパス) 」と呼ばれるポイント評価制度が追加導入される事がMOMより発表されています。(EP更新については、2024年9月1日より適用)
ポイント制度「COMPASS」とは?
COMPASSとは、EP申請者を下記の6項目(基礎基準4項目とボーナス基準2項目に分かれる。)から審査する為の評価制度です。各項目における期待値に対する達成度に応じてポイントが付与される仕組みとなっていて、EP取得には付与されたポイントの合計が合計40ポイント以上となる必要があります。
【ポイントについて】
基礎基準の各項目では期待値に対する達成度に応じて、20、10、0ポイントのいずれかが付与されます。ボーナス基準では、スキルボーナスに該当する場合は基礎基準でのポイントに加えて20ポイント、戦略的経済優先ボーナスに該当する場合は追加で10ポイントが付与されます。
※詳細についてはMOMのホームページをご確認ください。
COMPASSのポイントについて | ||||
基礎基準
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個人に関する基準 | C1:給与 | ローカルPMETの給与水準との比較 | 0~20ポイント |
個人に関する基準 | C2:学歴 | 申請者の学歴 | 0~20ポイント | |
企業に関する基準 | C3:国籍多様性 | スポンサー企業の社員に多様性があるか | 0~20ポイント | |
企業に関する基準 | C4:ローカル雇用の促進 | 同業他社とのローカルPMET比較 | 0~20ポイント | |
ボーナス基準
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個人に関する基準 | C5: スキルボーナス(人材不足職種リスト) | 申請者の専門エリアが人材不足の職種に該当するか | 20ポイント |
企業に関する基準 | C6:戦略的経済優先ボーナス | イノベーション又は国際文化活動で政府との連携を取っているか | 10ポイント |
「COMPASS」の免除
申請者が以下の条件のいずれかを満たす場合COMPASSの適用を免除とする事ができます。
- 月給20,000ドル以上の固定給の人
- 企業内転勤者(ICT, Intra Corporate Transferee)または、短期間(1ヶ月以内)の職務の方。