ERP(Electronic Road Pricing、和名:電子道路課金制度)は、シンガポールの都市部で道路の通行料金を徴収するためのシステムです。三菱重工業によって開発された装置で、シンガポールでは1998年に導入されました。車に搭載する車載器と道路上に設置されたゲートが通信を行って自動的に料金を徴収される仕組みで、日本の高速道路に設置されているETCに似たシステムです。
ERPシステムが導入された目的
ERPは主にシンガポールCBD (Central Business District)内の交通渋滞を緩和させる目的で導入されています。(交通渋滞の緩和に伴い、渋滞による各個人の時間の浪費量、ビジネスコスト、排気ガス量の削減等もあげられています。)
ALSからの進化
シンガポールでは、ERPが設置される前はALS (Area Licensing System)と呼ばれる制度を通して通行料金を徴収していました。ALSでは、ERPと同様に市街地の交通量を減らす目的で導入されていて、通行許可証を制限区域の手前にある売店やコンビニエンスストア・ガソリンスタンドで購入するシステムでした。
これがERPに変わる事で、自動課金が可能となり従来よりスムーズに市街地内の移動が可能になりました。
ERPの料金制度
ERPを通る際に発生する料金は、制限区域内を通る車両の通行速度通によって変動します。(渋滞が増えれば交通速度が遅くなり値段が上がる仕組み)
ただシンガポール政府はERPの料金に対して柔軟な姿勢を見せていて、四半期毎に最新の交通データをもとに料金の見直しを行っています。
ERPはテロ防止にも使われている
シンガポール政府は、2016年にISIL(アイシル)によるテロ活動の活発した事を受けて、ERPのデータをテロ対策強化の一環として活用することを発表しています。
次世代のERPシステム
シンガポールで広く利用されているERPシステムですが、システム自体も進化を続けています。既に次世代型のERPシステムが開発されていて、その詳細が三菱重工様から発表されています。
従来の「ERP」に比べて、「次世代ERP」は何が進化しているのか?
まず大きな違いとして挙げられるのは、「ガントリー」だ。
これまでのERPは日本の「ETC」のように、道路に「ガントリー=料金所の門」を設置し、そこを通過する車1台1台の車載器機から情報を読み取り、料金を収受していた。
一方、次世代ERPはそうした物理的なガントリーに頼らず、GNSS(注)の位置情報と広域通信網を用いてデジタル地図上の道路に、「仮想ガントリー」として課金ポイントを設定して課金する方式に置き換えるのだ。
その結果、走行する車が仮想ガントリーを通過すると、車載器が自動的に課金を行うためこれまでのような道路上のガントリーが不要となり、建設地の取得や建設費用の大幅な削減が見込めるのだ。
次世代ERPについて