シンガポール・スリング(英:Singapore Sling)は、その名の通りシンガポールで生まれまカクテルです。名前に付いている「スリング(Sling)」は、「ジン・スリング」や「ウォッカ・スリング」などと同様にドイツ語のSchlingen(飲み込む)に由来する言葉だと言われています。
シンガポール・スリングは、もともと女性向けに考案されたカクテルで、トロピカルな容姿に加えて爽やかな飲み口とフルーティーな甘さが特徴的なカクテルです。
シンガポール・スリングの生い立ち
シンガポール・スリングは1915年(1887年に原型が誕生した情報もあります)にラッフルズ・ホテルのロングバーで誕生しました。当時チーフバーテンダーをしていた厳崇文(Ngiam Tong Boon)さんが生みの親で、社交の場で女性が嗜みやすいお酒として考案したのが始まりだと言われています。
その後、サヴォイ・ホテルでチーフ・バーテンダーをしていたハリー・クラドックさんがレシピの簡素化を行い、1930年に刊行された『サヴォイ・カクテルブック』にシンガポール・スリングを収録したことで、世界的に知られるカクテルとなりました。
ロングバーのシンガポール・スリング
ラッフルズホテル内に併設されている「ロングバー(Long Bar)」ではオリジナルのシンガポール・スリングを今でも提供していて、このシンガポール・スリングを飲む為にラッフルズホテルに足を運ぶ方も少なくありません。
2019年のリニューアル以降は新しいレシピでのシンガポール・スリングとなっていますが、オリジナルのシンガポール・スリングもリクエストすれば提供してくれます。
オリジナルのシンガポール・スリングのレシピは公開されていて、次の様な内容になっています。
シンガポール・スリングのレシピ
- ドライ・ジン 30ml
- チェリー・ブランデー 15ml
- ベネディクティン 7.5ml
- ホワイト・キュラソー 7.5ml
- レモン・ジュース/ライム・ジュース 15ml
- パイナップルジュース 120ml
- グレナデン・シロップ 10ml
- アンゴスチュラ・ビターズ 1dash
- スライス・パイナップル
- マラスキーノ・チェリー
- ソーダ水
影の名物はピーナッツ
シンガポール・スリングと並んでロングバーの名物となっているのが「ピーナッツ」です。ロングバーではピーナッツの殻を床に落とすのが流儀となっていて、店内の床が殻だらけになっています。ロングバーは、ポイ捨てに厳しいシンガポールでポイ捨ができるユニークなお店として知られています。
家で飲めるシンガポール・スリング
レシピが公開されているシンガポール・スリングは自宅でもつくる事のできるカクテルです。また、ラッフルズホテル1階のギフトショップでは、パイナップルジュースとライムジュースを混ぜるだけでロングバーの味が再現できるよう作られたシンガポール・スリングのベースリキュールも販売されています。