ハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa)ってどんな行事?

ハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa)とは?

ハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa)は、イスラム教徒の断食月「ラマダン(Ramadan)」の終了を祝う祭日で、マレー語で「断食明けの祝祭」を意味します。ハリラヤ・プアサはイスラム教徒の方々にとっては1年で最もおめでたい祝日の1つで、マレー系が主要民族の1つとなるシンガポールでは国民の祝日にも指定されています。

ハリラヤ・プアサは、ラマダンと同様にイスラム暦(ビジュラ暦や太陰暦とも呼ばれる)をベースに日程が決定します。このイスラム暦が一年を354日とするため、ハリラヤ・プアサの日程は毎年10日から11日ずつ早くなっていきます。

「イード・アル・フィトリ」と「ハリラヤ・プアサ」

ハリラヤ・プアサについて調べていると、よくイード・アル・フィトリ(英:Eid al-Fitr)という言葉が出てきます。ハリラヤ・プアサとイード・アル・フィトリはイスラム教徒において同一の行事を指すのですが、イード・アル・フィトリは「断食の祭り」を意味するアラビア語で、国際的なイスラムコミュニティ使用されます。

一方、ハリラヤ・プアサは、主にマレーシアやシンガポール、インドネシアなどのマレー系イスラム教徒の間で使用される言葉です。ハリラヤは「祝日」を、プアサは「断食」を意味します。

ハリラヤ・プアサの始まり

ハリラヤ・プアサは、イスラム教の預言者ムハンマドの時代(7世紀)から続く祝日で、1か月間の断食と献身的な祈りを行った後、その努力と信仰を神(アッラー)に感謝する日として始まりました。現在のハリラヤ・プアサは、イスラム教徒の人々にとって心身の浄化、自己の内省、そして他者への思いやりや慈善の心を再確認する機会となっています。

伝統的な風習と行事

ハリラヤ・プアサは、イスラム教徒にとって赦しの時であり、親戚や友人との絆を深める大切な機会です。この日には、過去1年間に犯した過ちを謝罪したり、家族や友人と食卓を囲みながら、神からの赦しと恵みに感謝して断食明けを祝う習慣があります。

当日は、朝早くからモスクで特別な礼拝(ハリラヤ・プラヤヤーン)が行われ、信者たちは「バジュ・マラユ(Baju Melayu)」や「バジュ・クルン(Baju Kurung)」といった伝統的な衣装に身を包んで参加します。そして礼拝の後は、家族との食事を楽しみます。また、親族や年長者に対して感謝の気持ちを伝え、許しを請う「サラム(Salam)」という挨拶の習慣もあります。

その他には、家にはカラフルな装飾が施され、家族や親しい友人を迎える「オープンハウス」が開かれたり、子どもたちには「ドゥイット・ラヤ(Duit Raya)」と呼ばれる封筒に入ったお金が渡されるなど、家族の絆を深める風習が特徴です。

よく見られる食文化と料理

ハリラヤ・プアサでは、断食明けを祝うごちそうが食卓に並びます。また代表的な食事には、「ルンダン(Rendang)」「ロントン(Lontong)」「サテー(Satay)」「クエ(Kueh)」などがあげられます。これらの料理はオープンハウスでの訪れた家族・友人にもふるまわれ、互いの家庭を訪れる中で人と人との交流が深まるとされています。

街中の雰囲気と行事ごと

ハリラヤ・プアサが近づくと、ゲイラン・セライなどのエリアでは華やかなライトアップやバザール(伝統衣装やお菓子、装飾品が並ぶ屋台)が登場し、祝祭ムードが高まります。また、ショッピングモールでは特設ブースやセールが行われ、ラマダン中の夜市(ナイトバザール)では様々な料理が楽しめることから、現地民以外にも多くの観光客が集まる時期となります。