
シティ・イン・ア・ガーデン(City in a Garden)とは?
シティ・イン・ア・ガーデン(City in a Garden)とは、シンガポール政府が掲げる都市開発のコンセプト(思想)で、都市の中に自然を組み込み、街全体を“庭”のようにするという考え方です。シティ・イン・ア・ガーデンは、1967年に始まった「ガーデンシティ(Garden City)」構想をベースに考案されたものです。ガーデンシティが街路樹や公園整備による都市の緑化を目的としていたのに対し、シティ・イン・ア・ガーデンは都市そのものに自然を組み込むことを目指した考え方として発展しました。
| 項目 | City in a Garden | City in Nature |
| 時代 | 2000年代後半〜 | 2020年〜 |
| 基本思想 | 都市の中に自然を組み込む | 人と自然が共存する |
| 主な目的 | 都市全体を緑でつなぐ | 生物多様性の保全と、人と自然が近い都市づくり |
| 主な施策 | 屋上緑化、垂直緑化、Park Connector Network(PCN)整備 | Nature Corridors、OneMillionTrees、自然公園ネットワーク、生態系保全 |
近年では、このシティ・イン・ア・ガーデンをさらに発展させた「シティ・イン・ネイチャー(City in Nature)」という構想が掲げられていて、 緑化だけでなく生態系の保全や野生動物との共存なども重視されるようになっています。
補足
シンガポールでは、この緑化思想に沿って「Green Plan 2030」や「Biophilic Towns」などの環境政策が進められています。
シティ・イン・ア・ガーデンの特徴
シティ・イン・ア・ガーデンの特徴は、単に緑を増やすのではなく、都市設計の中に自然を組み込んでいる点にあります。道路沿いの街路樹、公園、住宅地の植栽、建物の屋上緑化や垂直庭園まで含めて、日常の生活導線の中で緑を感じられるように設計されています。
また、シンガポールの緑化は、感覚的なものではなく数値目標付きで進められているのも特徴です。Singapore Green Plan 2030では、2020年から2030年までに100万本の木を追加で植えることや、すべての家庭が徒歩10分以内で公園にアクセスできることなどが目標として掲げられています。
なお、これらの緑化施策はNParks(National Parks Board)を中心に進められていて、URA(再開発)やHDB(住宅関連)などの政府機関と連携しながら実施されています。また、公園同士をつなぐ「Park Connector Network(PCN)」の整備も進められていて、街の中で緑が途切れにくい構造になっています。
補足
URA(Urban Redevelopment Authority)では、緑地や水辺を都市環境と一体で計画する方針を展開したり、HDB(Housing & Development Board)は、自然と共生する住宅地づくりとして「Biophilic Towns」を進めています。特にBidadariエリアなどはその代表例で、住宅だけでなく、公園や湖、緑のネットワークを含めて設計(「A Community in a Garden」)されています。
これらの施策により、シンガポールでは街のどこにいても緑を感じられる環境が都市設計として作られています。
一方で近年は、単に緑を増やすだけでなく、生物多様性の保全や自然回廊の整備なども進められています。これは現在推進されている「シティ・イン・ネイチャー(City in Nature)」へとつながる取り組みであり、シティ・イン・ア・ガーデンはその基盤となる考え方として位置付けられています。


