
ドーティ(Dhoti)とは?
ドーティ(Dhoti)は、インド系の男性が伝統的に着用する民族衣装のひとつで、主に腰から下を覆うための布を使った巻きスカートのような衣服です。シンガポールでも、宗教儀式や祭礼、結婚式といった特別な場で見かけることがあります。パンツのように仕立てられているわけではなく、1枚の布を体に巻きつけて履くスタイルなので、とてもシンプルな見た目をしています。
豆知識
インド本国では日常着として使われることもありますが、シンガポールではどちらかといえば儀式的・フォーマルな意味合いで着られることが多いです。
ドーティ着方と特徴
ドーティは、一般的に長さが4〜5メートルほどの長方形の布でできていて、腰に巻きつけ、脚の間を通して左右に折り返してから腰に結んで固定します。南インドと北インドでは巻き方に少し違いがあり、シンガポールでは南インド系のタミル文化が強いため、タミル式の着方が主流となっています。
フォーマルな場では、布の縁に金色のラインが入った「ヴェシティ」と呼ばれるタイプのドーティが使われ、上半身にはクルタ(ゆったりしたチュニック)やショールを合わせて着用されます。また見た目以上に機能的(通気性や伸縮性)で、シンプルな中にも伝統的な美しさが感じられる服装です。
宗教や文化的な背景
ドーティは単なる伝統衣装ではなく、宗教的にも重要とされています。特にヒンドゥー教の宗教行事では、男性がドーティを着て寺院に参拝することが敬意の表現とされていて、儀式の際の“正装”とされています。
また、ドーティは身を清める、質素であることの象徴ともされていて、内面の誠実さや謙虚さを表す衣服ともされています。インド独立運動の指導者ガンディーも日常的にドーティを着用していたことで有名で、文化的にも「精神の自由」「民族の誇り」を象徴する存在となっています。