
シンガポール在住者であれば、ホーカーセンターやコピティアムで麺料理を注文する時に「どの麺にする?」と尋ねられた事が一度はあるんじゃないでしょうか?
麺料理が人気を集めるシンガポールでは、様々な種類の麺が日常的に食べられています。日本ではあまり見ない麺もありますので、シンガポール生活の一環として色んな麺を試してみるのも楽しいです。
今回は、そんなシンガポールで食べられている麺の種類をまとめてみました。
コンテンツ
麺の種類と調理スタイルの組み合わせ
シンガポールでは、麺の種類に合わせて調理法も変わります。イエローミーやビーフンは炒め物に、ホーファンは餡かけに、クイティアオは炒めてもスープでもOKというように、用途によって最適な組み合わせがあります。ホーカーでは同じ料理でも麺を選べることが多く、自分好みにアレンジができるのも楽しみの一つです。
シンガポールで見られる麺の種類
Yellow Mee(黄面)
Yellow Mee(黄面 / イエローミー)は、中太の小麦麺で、独特の黄色い色合いとかんすい由来の香りが特徴です。もっちりとした食感としっかりした歯ごたえがあり、スープ料理から炒め物まで幅広く使われます。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、かん水、水、塩など
- 代表的な料理:Hokkien Mee、Prawn Mee、Mee Goreng、Lor Mee、Curry Meeなど
Huang Mian(黄麺)
Huang Mian(黄麺 / フアンミエン)は「黄麺」の名の通り、黄色がかった中太の中華麺です。見た目と香りのインパクトが強いのが特徴で、現在では炒め物やスープ、あんかけなど様々な料理で使われています。味はややもちっとしていて弾力があり、ソースや具材の味をしっかり吸収するため、こってり系の調理にもよく合います。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、かん水、水、塩など
- 代表的な料理:Hokkien Mee、Lor Mee、Fried Yellow Noodles、Yellow Mee Soup、Malay-style Curry Meeなど
Bee Hoon(米粉)
Bee Hoon(米粉 / ビーフン)は、中国南部や東南アジアで昔から食べられているライスヌードルです。麺の形状は細く、茹でても炒めてもくっつきにくいのが特徴です。味は淡白で、スープやソースの風味を吸いやすいため、幅広い調理法に対応できます。食感は柔らかく、軽やかなのどごしが魅力です。
また、Bee Hoonは麵太さによってThin Bee HoonとThick Bee Hoonに分けられています。
■ Thin Bee Hoon(細米粉)
Thin Bee Hoon(細米粉 / シー・ミーフン)は、特に細く繊細に作られたビーフンです。一般的なビーフンよりも滑らかで柔らかい口当たりが特徴です。
■ Thick Bee Hoon(粗米粉)
Thick Bee Hoon(粗米粉 / チュー・ミーフン)は、太めのビーフンです。もっちりとした食感が特徴で、濃いスープ料理や煮込み料理(とくに温かい料理)で登場します。
尚、ビーフンは、グルテンフリーなので小麦アレルギーのある人でも食べられる麺でもあります。
材料と代表料理
- 基本的な材料:米粉と水
- 代表的な料理:Fried Bee Hoon、Bee Hoon Soup、Fish Slice Bee Hoon、Sambal Bee Hoon、Claypot Bee Hoonなど
Kway Teow(粿條)
Kway Teow(粿條 / クイティアオ)は、米粉を主原料とする幅広の平打ち麺です。見た目は白く半透明で、もっちりとした口当たりが特徴的です。炒めても煮ても崩れにくく、香ばしさや旨味が染み込みやすいため、シンガポールでは定番の麺としても食べられています。
材料と代表料理
- 基本的な材料:米粉、水、タピオカ粉(またはコーンスターチ / 澱粉)、塩
- 使用される料理:Char Kway Teow、Duck Kway Teow Soup、Kway Teow Soup、Seafood Fried Kway Teow、Penang-style Kway Teow
Hor Fun(河粉)
Hor Fun(河粉 / ホーファン)はクイティアオに似ていますが、やや厚みがあり、より滑らかな口当たりが特徴です。主に餡かけスタイルの料理に使われ、牛肉や海鮮などの具材と一緒に提供されることが多いです。鉄板で軽く焦がしてから炒める調理法も人気です。
材料と代表料理
- 基本的な材料:米粉、水、タピオカ粉または澱粉、塩
- 使用される料理:Beef Hor Fun、Seafood Hor Fun、Mui Fan、Ipoh Hor Fun、Hotplate Hor Fun
ラーミエン(La Mian / 拉麺)
La Mian(拉麺 / ラーミエン )は、その名前に「引っぱって作る麺」という意味があり、職人の手作業で繰り返し引き伸ばされて作られます。弾力と滑らかさが特徴で、スープ系にも炒め系にも合う中華麺のひとつです。また、麺の太さは料理によって調整されることが一般的です。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、水、塩、かんすい など
- 使用される料理:Beef La Mian、Spicy Mala La Mian、Tomato and Egg La Mian、Dry Minced Meat La Mian、Seafood La Mian
ビー・タイ・マク(Bee Tai Mak / 米苔目)
短くて太い米粉の麺で、スープや炒め物に使われます。
Mee Kia(面仔)
Mee Kia(面仔 / ミーキア)は、極細のストレート麺です。主に中華系の麺料理で使用されます。見た目は黄色く、やや透明感があり、茹でてもコシが残るのが特徴です。歯切れの良い食感とソースの絡みやすさから、乾麺にもスープ麺にも適しています。香味油やチリ、酢との相性がよく、食感重視の麺として知られています。
また、シンガポールで見られる「面仔」は広東語での表記であり、標準中国語では「幼面」と表記されることが一般的です。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、卵、水、塩
- 代表的な料理:Bak Chor Mee、Fishball Noodles、Minced Pork Noodles、Crispy Wanton Noodles、Dry Chilli Meeなど
Yi Mian(伊麺)
Yi Mian(伊麺 / イーミエン)は、やや太めで丸みがある麺で、柔らかいながらも弾力のある食感が特徴です。広東系の料理を中心に、スープ・煮込み・あんかけなど幅広い調理法で使われています。また、お祝いの席での登場頻度が高い麺でもあります。
Yi Mianの製造過程では、一度油で軽く揚げてから乾燥させるのが一般的です。これによって高い保存性と特有の香ばしさが加わります。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、卵、水、塩
- 代表的な料理:Yi Fu Mee、Wedding Noodles、Soup Yi Mian、Braised Yi Mian、Claypot Yi Mianなど
Mee Pok(麺薄)
Mee Pok(麺薄 / ミーポク)は、幅が広くて平たい形状をした麺です。食感はしっかりとしたコシがあり、茹でても歯応えが残ります。また、味は淡白なので、合わせるソースやスープの風味をより際立たせてくれます。
醤油やビネガー、チリなどで調味されることが多く、しっかり混ぜて食べるスタイルがシンガポールでは一般的です。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、卵、水、塩
- 代表的な料理:Bak Chor Mee、Fishball Mee Pok、Chilli Mee Pok、Dry Mee Pok、Soup Mee Pokなど
Mee Sua(麺線 / 面线)
Mee Sua(麺線 / 面线 / ミースア)は、非常に細く長い麺です。その形状から「長寿」の象徴ともされていて、祝い事や節目の行事などに登場します。
麺自体は柔らかく、素朴な風味が特徴です。また、味がしみ込みやすくスープ料理や煮込み料理に使われることが一般的です。優しく塩気を含んだ味付けで提供されることが多く、消化にも良いとされています。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、水、塩
- 代表的な料理:Braised Mee Sua、Chicken Mee Sua、Pork Rib Mee Sua、Herbal Mee Sua、Seafood Mee Sua Soupなど
You Mian(幼麺)
You Mian(幼麺 / ヨウミエン)は、極細でやや柔らかい質感を持つ中華麺の一種です。シンガポールでは特に健康志向の料理や軽食向けに食べられることが多く、淡白でクセがない味が特徴です。
You Mianはその細さから火が通りやすく、忙しいローカルフード文化の中でも手早く調理できる軽食麺として親しまれています。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、卵、水、塩
- 代表的な料理:You Mian Soup、Minced Meat You Mian、Dry You Mian、Herbal You Mian、Seafood You Mianなど
Ban Mian(板麺)
Ban Mian(板麺 / バンミエン)は、手打ちスタイルの幅広麺です。もちもちとした食感と、手作りならではの不均一さが特徴となっています。
Ban Mianは、その厚みと弾力から、具材やスープのうまみを吸い込みやすく、シンガポールでは滋養たっぷりの一杯として親しまれています。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、卵、水、塩
- 代表的な料理:Soup Ban Mian、Dry Ban Mian、Chilli Ban Mian、Minced Meat Ban Mian、Herbal Ban Mianなど
Mee Hoon Kuay(面粉粿)
Mee Hoon Kuay(面粉粿 / ミーフンクエ)は、麺を一枚ずつ手でちぎって作る麺で、不揃いな形とモチモチ感が特徴的です。味わいは素朴で優しく、またスープや炒め料理との相性も良いです。
材料と代表料理
- 基本的な材料:小麦粉、水、塩
- 代表的な料理:Soup Mee Hoon Kuay、Dry Mee Hoon Kuay、Hand-torn Mee Hoon Kuay、Chilli Mee Hoon Kuay、Herbal Mee Hoon Kuayなど
ミックス麺
シンガポールでは、複数の麺を混ぜて食べる事も一般的です。ミックス麺では食感や味わいの違いを同時に楽しめるのが特徴で、麺の種類は食べる人が自由に選びます。
ミックス麺の例
- バクチョーミー(ミーキア+ミーポクの組み合わせなど)
- ミーリブ(イエローミー+ホーファンなど)
- トマヤムヌードル(イエローミー+ビーフンなど)
- 魚スープヌードル(ヨウミエン+ミースアなど)
- ドライヌードルセット(ミーポク+ミーフンクエなど)
最後に
シンガポールには多様な文化が融合した食文化が根付いており、麺の種類一つとってもそのバリエーションの豊かさに驚かされます。ホーカーセンターやコピティアムで「どの麺にする?」と聞かれた時、今回紹介した麺の特徴を思い出せば、自分好みの食感や味わいを選びやすくなるはずです。まだ試したことのない麺があれば、ぜひチャレンジしてみてください。