
シンガポールは、外国人の多い国として知られています。そんなシンガポールで出産をした場合、子供の国籍はどうなるのでしょうか?
シンガポールで産まれた子供の国籍事情について解説します。
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国籍の決まり方
世界における国籍の決まり方は、主に以下の2つのルールに基づいています。細かくは国や地域ごとに異なりますが、基本的にはこのどちらか、または両方を組み合わせた制度が取られています。
出生地主義
「その国で生まれたら国籍を与える」制度です。その国の領土内で出生したことが国籍取得の条件となり、両親の国籍や在留資格に関係なく国籍が付与されることもあります。(両親の在留資格や永住条件を満たさないと国籍を与えないケースも増えています。)
出生地主義国の代表的な例:
アメリカ合衆国 / カナダ / ブラジル / メキシコ / アルゼンチン
血統主義
「親の国籍によって子供も国籍を得る」制度です。出生地に関係なく(海外で生まれても取得可能)親のどちらか、または両方がその国の国民であれば、子供も同じ国籍を取得できるのが特徴です。
血統主義国の代表的な例:
日本 / ドイツ / 韓国 / イタリア / シンガポール
シンガポールは血統主義国
シンガポールは「血統主義国」となります。その為、出生地に関わらず、両親の一方もしくは両方がシンガポール人であれば、シンガポール国籍を取得できる事となります。また逆に、シンガポールで産まれた子供であっても、両親がシンガポール人でない場合はシンガポール国籍の取得ができません。
※シンガポール人の定義は、帰化された方も含め、シンガポール国籍を持っている方となります。また、シンガポール永住権保持者は、外国人扱いとなります。
日本も血統主義国
日本もシンガポールと同様に血統主義を取り入れる国です。その為、両親の一方もしくは両方が日本人であれば、日本国籍を取得できる事となります。(海外で出産する場合は、日本国籍取得の申請が必要となります)
日本人がシンガポールで出産する場合は?
日本人がシンガポールで子供を出産した場合、その子供の国籍がどうなるかまとめています。また、日本人がシンガポールで子供を産む場合は、主に以下の3パターンに別れます。
パターン | 子供の国籍 |
日本人とシンガポール人の子供(※永住権保持者はシンガポール人に含まれない。) | 日本国籍とシンガポール国籍が取得可能。 |
日本人と日本人の子供 | 日本国籍が取得可能。 |
日本人と第3ヵ国の方との子供 | 日本国籍が取得可能。第3国の国籍は、相手国の国籍付与のルールに沿って決められる。 |
シンガポール国籍が取れない場合
両親のどちらもシンガポール国籍を持っていない場合、シンガポール国内で生まれた子供はシンガポール国籍の取得ができません。その代わり、両親のシンガポール内でのステータスによって子供へビザの発給ができます。親御さんが永住権を持っている場合はLTVPやDP、親御さんがEPもしくはSpassの場合はDPのスポンサーとなる事ができます。
※Spassに関しては特定の条件を満たしておく必要があります。
シンガポールと日本のニ重国籍について
シンガポール人と日本人の間で子供が産まれた場合、その子供は一時的に二重国籍を持つ事が許されます。ただし、基本的にシンガポールで二重国籍は認められおらず、重国籍(シンガポールを含む場合)の子供は22歳になるまでにシンガポール国籍を取得するか(それとも放棄するか)を決める必要があります。
日本もシンガポールと同様に二重国籍を認めておらず、国籍の選択期限も22歳となっています。このため日本人とシンガポール人を両親に持つ子供は、22歳になるまでに国籍の選択を行う必要があります。(それまでの間は、二重国籍を持つ事ができます。ただし、各国へ出生に関する届出は必要です。)
最後に
シンガポールで生まれる子供の国籍についてまとめてみました。シンガポール国籍の親を持たない場合は、出生時にシンガポール国籍の取得をすることは難しいですが、その後シンガポールでの滞在が長くなれば、別のスキームを通して永住権→国籍取得をする事も可能です。