シンガポールで就職をする為には「就労ビザ」を取得する必要があります。シンガポールで最も一般的に申請される就労ビザはEmployment Pass(EP)とS passの2種類となります。
※上記以外にも日本国籍保持者が申請できるビザはありますが、高所得者や配偶者など特定の条件を満たしている人材向けのビザとなっています。シンガポールに住む日本国籍保持者(駐在者と現地採用者どちらも)の殆どは上記のEP又はS Passを取得して仕事を行っています。
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EPとS Passについて
まずは、EPとS Pass両ビザにおけるポイントを簡単にまとめてみました。
S Passのポイント
- ジュニア層向けの就労ビザ
- 最低給与額:$3,000(金融セクターは$3,500)
- 年齢や経験で最低給与額が上昇
- 初申請での有効期間:最長2年
- スポンサー企業が必要
EPのポイント
- 専門職やマネージャー向けの就労ビザ
- 最低給与額:$5,000(金融セクターは$5,500)
- 年齢や経験で最低給与額が上昇
- 初申請での有効期間:最長2年
- スポンサー企業が必要
■ スポンサー企業について
スポンサー企業とは就労ビザの発給を行う企業を指します。通常は「雇用主となる企業」がスポンサー企業となりますが、派遣雇用で働く場合は派遣元となる会社が就労ビザの発給を行います。
EPとS Pass共にスポンサー企業にもビザ申請に必要な条件があります。その条件を満たしていない場合は、採用を行いたくても「企業にEP又はS Passを申請する能力が無い」事となってしまいます。
Employment Passについて
EPは主に専門職やシニア、マネージャーレベルの方に向けられた就労ビザです。近年、シンガポールは就労ビザ発給の引き締めを行っており、EPの最低給与額は年々高くなってきています。
EPには企業が持つ「採用可能枠数」はありませんので、比較的に多くの企業が申請可能なビザとなります。ただ、シンガポール政府が行う「Fair Employment Policy(外国人よりもシンガポール人を優先して採用活動を行う政策)」を無視して外国人を多く雇用している企業は、申請しても承認されなくなってしまいます。
S Passについて(ジュニア層向け)
ジュニア層の日本国籍保持者がシンガポールで取得するビザの殆どがS Passとなります。EP同様に最低給与額が年々高くなってきていて、近年では企業側もS Pass申請に慎重になる動きも出てきています。
S Passには企業が持つ「採用可能枠数」が存在します。企業に在籍するシンガポール国籍を持つ社員数に応じて与えられる枠数で、これを超える数のS Pass保持者を雇用することはできません。
EPとS Passの最低基本月給の引き上げについて
2022年9月1日より変更となったEPとS Passの最低基本月給額について解説していきます。
EP取得に必要となる最低基本月給額の変更
<2022年9月1日からEP取得に必要となる最低給与額が下記のように変更されました。
※現在EPを持っている方が更新を行う場合、変更後の新基準は2023年9月1日より適用となります。
セクター | 2022年8月末までの最低基本月給額 | 2022年9月1日以降の最低基本月給額 |
金融以外の全てのセクター | $4,500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$8,400) | $5,000(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$10,500) |
金融セクター | $5,000(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$9,300) | $5,500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$11,500) |
S Pass取得に必要となる最低基本月給額の変更
2022年9月1日からS Pass取得に必要となる最低給与額が下記のように変更されました。また、2023年9月と2025年9月と段階的に最低給与額が引き上げられる事が発表されています。
※現在S Passを持っている方が更新を行う場合、変更後の新基準は2023年9月1日より適用となります。
セクター | 2022年8月末までの最低基本月給額 | 2022年9月1日以降の最低基本月給額(更新の場合は2023年9月1日以降) | 2023年9月1日以降の最低基本月給額(更新の場合は2024年9月1日以降) | 2025年9月1日以降の最低基本月給額(更新の場合は2026年9月1日以降) |
金融以外の全てのセクター | 2500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。) | $3,000(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$4,500) | $3,150(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限については今後確定される) | $3,300(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限については今後確定される) |
金融セクター | 2500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。) | $3,500(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限は40代半ばの方を対象とする$5,500) | $3,650(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限については今後確定される) | $3,800(最低給与額は申請者の年齢と共に上昇する。上限については今後確定される) |
最後に
最近、シンガポールでは就労ビザの取得が年々難しくなってきています。ジュニア層においては、申請できるビザが枠数に制限のあるS Pass一択となってしまう場合が多い事から、求人数が企業の雇用状況に影響されてしまう事も多々あります。このような現実があるものの、シンガポールはまだまだ日本人雇用への強いニーズを持つ国で、毎年多くの日本人(ジュニア層)がシンガポールでの転職を成功させている事実もあります。
OLSがではシンガポール留学やインターンシップに加えて、シンガポール就職についてのご質問にも回答させて頂いておりますので、本記事に関してご不明な点がある方は「質問ボックス」よりお気軽にご連絡ください。
ポイント制度「COMPASS」とは?
COMPASSとは、EP申請者を下記の6項目(基礎基準4項目とボーナス基準2項目に分かれる。)から審査する為の評価制度です。各項目における期待値に対する達成度に応じてポイントが付与される仕組みとなっていて、EP取得には付与されたポイントの合計が合計40ポイント以上となる必要があります。
【ポイントについて】
基礎基準の各項目では期待値に対する達成度に応じて、20、10、0ポイントのいずれかが付与されます。ボーナス基準では、スキルボーナスに該当する場合は基礎基準でのポイントに加えて20ポイント、戦略的経済優先ボーナスに該当する場合は追加で10ポイントが付与されます。
※詳細についてはMOMのホームページをご確認ください。
COMPASSのポイントについて | ||||
基礎基準
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個人に関する基準 | C1:給与 | ローカルPMETの給与水準との比較 | 0~20ポイント |
個人に関する基準 | C2:学歴 | 申請者の学歴 | 0~20ポイント | |
企業に関する基準 | C3:国籍多様性 | スポンサー企業の社員に多様性があるか | 0~20ポイント | |
企業に関する基準 | C4:ローカル雇用の促進 | 同業他社とのローカルPMET比較 | 0~20ポイント | |
ボーナス基準
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個人に関する基準 | C5: スキルボーナス(人材不足職種リスト) | 申請者の専門エリアが人材不足の職種に該当するか | 20ポイント |
企業に関する基準 | C6:戦略的経済優先ボーナス | イノベーション又は国際文化活動で政府との連携を取っているか | 10ポイント |
「COMPASS」の免除
申請者が以下の条件のいずれかを満たす場合COMPASSの適用を免除とする事ができます。
- 月給20,000ドル以上の固定給の人
- 企業内転勤者(ICT, Intra Corporate Transferee)または、短期間(1ヶ月以内)の職務の方。